事業復活支援金の事前確認について
事業復活支援金を申請する前には登録確認機関による事前確認を受ける必要があります。
なぜこのような確認を受けなければならないのかの説明と、申請の流れ、必要書類、確認内容について解説します。
事前確認の背景
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国は現在までに様々な給付金を支給しています。
2020年4月の緊急事態宣言を受けて初めて実施された持続化給付金では、突然のパンデミックにより打撃を受けた中小企業をいち早く救済し、スムーズな給付を実行するために、申請内容も方法もとてもシンプルなものでした。
そのため不正受給が横行し、詐欺容疑での逮捕者も続出しています。
そのような逮捕者が続出した報道を耳にした方は多いとおもいます。現に持続化給付金の自主返納件数は1.5万件、金額は160億円にも及びます。
これらを受けて、2021年1月~3月の一時支援金、2021年4月~10月の月次支援金では事前確認制度を実施しました。
事前確認を行うことで、事業を実施しているかや受給要件を満たしているか、必要な書類が揃っているかなど申請の大前提の部分のフィルターをかけることができます。
事前確認機関は宣誓内容の整合性や申請者の給付内容が正しいかなどを判断するわけではありません。つまり申請希望者が給付対象であるかの判断は行いません。給付決定は事業復活支援金の事務局が行うので、事前確認に通ったからといって給付が決定するわけではありません。
申請の流れ
タイプ別 | 事前確認の有無 | 申請 |
---|---|---|
一時支援金または月次支援金を既に受給された方 | 事前確認 不要 | マイページから申請 (書類①~⑤を添付) |
一時支援金または月次支援金を既に受給していない方 (継続支援機関に当たる登録確認機関がある方) | 一部事前確認 必須 (継続支援関係の登録確認機関で行う) | マイページから申請 (書類①~⑤を添付) |
一時支援金または月次支援金を既に受給していない方 (継続支援機関に当たる登録確認機関がない方) | 全部事前確認 必須 | マイページから申請 (書類①~⑧を添付) |
【申請時に提出する書類一覧】
- 履歴事項全部証明書(法人)または本人確認書類(個人)
- 確定申告書の控え
- 対象月(2021年11月~2022年3月)の売上台帳
- 給付額の振込先の通帳
- 宣誓・同意書(自署必須)
- 基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上台帳
- 基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上に係る通帳
- 基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上に係る1取引分の請求書・領収書等
6・7・8の資料は取引日を明記するとともに、マーカーで印を付け、6の売上台帳に記帳されている売上額に関連する8の請求書または領収書と金額が一致する7の通帳を提出する必要があります。つまりこの3つの流れが説明できる状態での資料提出が求められています。
一時支援金または月次支援金を既に受給された方は申請ステップを省略(事前確認不要)してすぐに申請可能です。※一時支援金または月次支援金を受けた申請時点から事業形態や申請主体が変更になった場合は再度受ける必要があります。
登録確認機関から「事業を実施しているか」「新型コロナウイルス感染症の影響を受けているか」「給付対象等を正しく理解しているか」などの事前確認を受ける
※事前確認はテレビ会議システム、対面、(継続支援関係がある場合は)電話で実施します
問題なく事前確認が終了した場合は、事前確認の登録機関側で申請システム上の登録を行うので、申請希望者のマイページに反映されるまで待つ
『事業復活支援金の詳細について』の資料を全て読む
マイページにアクセスし必要事項を入力するとともに、必要書類を添付して申請する
※合理的な理由により必要書類の存在が確認できなかった申請者には、審査時に改めて要件の確認や代替書類の提出等を求められる場合があります
必要書類
申請の流れの中でもまとめていますが、申請に必要な書類が多く、事務局のホームページをしっかり読み込まないと理解しにくいため、私が事前確認を行った体感としては、この必要書類をしっかり用意できている方が少ないと感じました。
【申請時に提出する書類一覧】
- 履歴事項全部証明書(法人)または本人確認書類(個人)
- 確定申告書の控え
- 対象月(2021年11月~2022年3月)の売上台帳
- 給付額の振込先の通帳
- 宣誓・同意書(自署必須)
- 基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上台帳
- 基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上に係る通帳
- 基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上に係る1取引分の請求書・領収書等
まさに6・7・8の3点セットが足りなかったり、基準月によっては年度を跨ぐため確定申告書が複数必要だったりと不備理由はさまざまです。
この書類を確認しないと事前確認を終了できないので、確認できるまで再度行うことになります。
給付金を早く支給してもらうためにも、必要書類を不備なく用意していることが必要なので、捉え方に差がでる必要書類に関して詳細にまとめましたので参考にしてください。
《確定申告書の控え》
法人の場合は、決算月の関係で基準期間が事業年度をまたぐ場合とそうでない場合によって必要な申告書の年度が違います。
上記表から該当する年度の下記書類を用意してください。
・確定申告書別表一の控えは必要な年度分×1枚
・法人事業概況説明書の控えは必要な年度分×2枚(両面)を添付
・e-TAXによる申告で受付日時及び受付番号が印字されていない場合は、受信通知(メール詳細)を必要な年度分×1枚添付
個人事業主の場合は、基準期間によって必要な申告書の年度が違います。
上記表から該当する年度の下記書類を用意してください。
※確定申告書類に個人番号が記載されている場合、必ず塗りつぶすなどして、確認できないような形式で添付してください。
《対象月(2021年11月~2022年3月)の売上台帳》
売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類を原則とします。
基本的な事項(対象月、日付、商品名、販売先、取引金額、合計金額等)が記載されている書類であれば、フォーマットの指定はありませんので、経理ソフト等から抽出したデータ、エクセルデータ、手書きの売上帳などでも構いません。また書類の名称が「売上台帳」でなくても構いません。
しかし、勤務日報、通帳の入金記録、請求書等を売上台帳として添付することは許されないのでご注意を!
《基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上台帳》
基準期間の対象月同月の売上に係る帳簿を添付してください。対象月の売上台帳と同様に基本的な事項(基準月、日付、商品名、販売先、取引金額、合計金額等)が記載されている書類を添付してください。
※取引日を明記するとともに、 8の売上に係る請求書・領収書等で提出する一取引の該当箇所にはマーカー等で印を付ける等の対応を行ってください。
《基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上に係る通帳》
取引先からの売上の振込があったことを示す申請者本人名義(屋号)の通帳を添付してください。
(以下の①②の双方が必要です)
①通帳の口座名義人(申請者本人名義)が分かる箇所を含むページ
②基準期間の対象月同月の取引を含むページ
※取引日を明記するとともに、 8の基準月の売上に係る1取引分の請求書・領収書等の該当箇所にはマーカー等で印を付ける等の対応を行ってください。
※現金取引等で、事業において通帳等を全く用いていない場合など、合理的な理由により提出ができない場合に限り、理由書を提出することで代替することができます。
《基準月(基準期間の対象月と同じ月)の売上に係る1取引分の請求書・領収書等》
基準期間の対象月同月の取引に係る請求書や領収書を添付してください。
※取引日を明記するとともに、6の基準月の売上台帳等、7の基準月の売上に係る通帳等においてマーカー等で印を付けた箇所と金額が一致する箇所に、同様にマーカー等で印を付ける等の対応を行ってください。
※現金取引等で、事業において請求書・領収書等を全く用いていない場合など、合理的な理由により提出ができない場合に限り、理由書を提出することで代替することができます。
またこれらの確定申告書類の裏付けとなる全ての帳簿書類および通帳は、7年間保存する必要があります。保存していない場合は、個人事業主の青色申告が取り消されることもありますし、事業復活支援金の申請時に不要な書類でも、申請後に追加で提出を求められることもあるので、きちんと保管し、事務局からの連絡にはいつでも対応できるように心がけましょう。
事前確認の主な内容
- 「申請ID」「電話番号」「法人番号及び法人名(法人の場合)」「氏名及び生年月日(個人事業者等の場合)」の確認
- 「継続支援関係」の有無の確認
- 実施方法・確認の種別(一部確認・全部確認)・事前確認の対価(報酬)の確認
- 本人確認
- 「確定申告書の控え」「帳簿書類」「通帳」の有無※¹の確認
※¹ 書類が存在しない場合、その理由について確認 - 「帳簿書類」及び「通帳」のサンプルチェック※²
※² 基準月及び登録確認機関が任意に選んだ年月における取引の確認 - 新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の要因について聴取及び該当項目の確認
- 宣誓・同意事項等を正しく理解しているかについて口頭で確認
- 中小企業庁より公表されている『事業復活支援金の詳細について』という資料のご案内
- 登録確認機関が事前確認通知番号※³を発行(発行後、申請者はマイページより申請可能に)
※³ 事前確認通知番号は申請者が申請に用いることはありません。
登録確認機関は事前確認で上記のことを確認しなければいけません。
事務局からの要請は①事業を実施しているか、②新型コロナウイルス感染症の影響を受けているか、③事業復活支援金の給付対象等を正しく理解しているか等についての確認をすることなので、この点を重点的に確認します。
事前確認では、申請書類の詳細な中身の確認はしなくてもいいことになっていますが、売上台帳・売上に係る領収書・売上に係る通帳の3点セットがなく売上の流れをきちんと説明できなければ、結局は審査落ちしてしまい支援金は給付されないので私は確認するようにしています。
継続支援関係の場合は一部事前確認となるので、4~6は省略可能です。
この事前確認制度が実施されるようになった背景からも、事務局は不正受給に対して厳しく対応していく姿勢を掲げており、給付額に延滞金と2割の加算金を加えて返還する義務を負うことや、氏名の公表、刑事告発などの措置が取られることに対する同意書の提出も求められます。
過去に不正受給が発覚した事業者は事業復活支援金の申請資格がなかったように、今回不正受給すれば、今後新たな給付金が出た際にも申請資格を喪失するなど本当に困った際に助けてもらえない可能性もあります。
不正受給は犯罪です。
当事務所では、この点もしっかり確認しながら事前確認させていただきます。